不器用な殉愛
「三人が交代で派遣されてくるそうです。この部屋と、この部屋、それから、向かい側の部屋を使ってもらえばちょうどいいですね」
「施療院として使うのは、この奥なのね」
元、母が使っていた区域は、城内でも比較的損傷が少なかった。それに、城内の他の区域からは独立したつくりだし、奥の方にあるので静かでもある。
病人や怪我人が、ゆっくり養生するのにはいい場所かもしれなかった。
「あの男も、やる時はやりますね。ディアヌ様のためを思ってのことなのでしょう」
「感謝……しなくてはね。私が、いつまでここにいられるのかはわからないけれど」
そんな話をしているところに届けられたのは、大量の薬と包帯、それに寝具だった。全員分のベッドは用意できないため、床に柔らかな敷物を敷き、その上に身を横たえるというのである。
それを運んできたのは、ノエルと彼の部下達だった。
「ラマティーヌ修道院の修道女達は、明日の午後到着します。それから、施療院は三日後には開きますが、ひとまず、城内の怪我人もそちらに収容します」
「わかりました。お医者様は?」
「一番奥を診療室、その隣の部屋を医師の宿泊場所にしようと考えています。不都合はありますか」
「いいえ。ありません。あとは——ハーブ園を増やした方がいいかもしれません。修道女達なら、ハーブを有効活用できますから。この区域の南の庭園は手付かずですから、そこをハーブ園にしたらいいのではないかと」