不器用な殉愛
「つ、つまり……」
そうつぶやいたヒューゲル侯爵の声はしわがれていた。彼は、トレドリオ王から託された相手を殺そうとしていたわけだ。
彼が、何よりも大切にしようとしていた——王家のたった一人の生き残りを。
だが、誰もヒューゲル侯爵を責められないだろう。彼は、彼自身の思う正義にのっとって行動していた。
そして、ディアヌもまたそれを受け入れるつもりでいたのだから。
「そんな……そんなことってあるのですか?」
ディアヌも、たった今明かされた真実に困惑していた。もう、血のつながった身内はいないものと思っていた。
それなのに……今、目の前に叔父という存在がいる。本当に、自分は入れ替わった娘なのだろうか。
信じられなくて、ただ目を潤ませて立っていると、ヒューゲル侯爵は目の前に膝をついた。
「私は……なんてことを」
その口から吐かれたのは、血を吐くような苦い言葉。
彼からしたら、敵を討つつもりだった。それが、まさか、実の姪を殺すことになるとは想像もしていなかったはずだ。
「侯爵。俺も、ディアヌもまだ経験の足りないところはたくさんある。父親代わりとして、今後も力を貸してもらえないだろうか」
ルディガーの言葉にも、膝をついたままの侯爵は沈黙したままだった。
「頼む。力を、貸してはもらえないだろうか。ほら、俺の妃もまだ信じられないという顔をしている——というか、今のあなたの様子を見ていられないようだ」
両手で顔を覆ったディアヌは、まだ気持ちの整理がつかないでいる。
そうつぶやいたヒューゲル侯爵の声はしわがれていた。彼は、トレドリオ王から託された相手を殺そうとしていたわけだ。
彼が、何よりも大切にしようとしていた——王家のたった一人の生き残りを。
だが、誰もヒューゲル侯爵を責められないだろう。彼は、彼自身の思う正義にのっとって行動していた。
そして、ディアヌもまたそれを受け入れるつもりでいたのだから。
「そんな……そんなことってあるのですか?」
ディアヌも、たった今明かされた真実に困惑していた。もう、血のつながった身内はいないものと思っていた。
それなのに……今、目の前に叔父という存在がいる。本当に、自分は入れ替わった娘なのだろうか。
信じられなくて、ただ目を潤ませて立っていると、ヒューゲル侯爵は目の前に膝をついた。
「私は……なんてことを」
その口から吐かれたのは、血を吐くような苦い言葉。
彼からしたら、敵を討つつもりだった。それが、まさか、実の姪を殺すことになるとは想像もしていなかったはずだ。
「侯爵。俺も、ディアヌもまだ経験の足りないところはたくさんある。父親代わりとして、今後も力を貸してもらえないだろうか」
ルディガーの言葉にも、膝をついたままの侯爵は沈黙したままだった。
「頼む。力を、貸してはもらえないだろうか。ほら、俺の妃もまだ信じられないという顔をしている——というか、今のあなたの様子を見ていられないようだ」
両手で顔を覆ったディアヌは、まだ気持ちの整理がつかないでいる。