不器用な殉愛
その点については触れず、ルディガーに問いかける。
「どこに案内しましょうか?」
「まずは宝物庫、それから王の私室、王子達の部屋、最後が大広間だな」
「……どれほどの品が残っているのか、どうか」
宝物庫には多数の財がおさめられていた。王冠、宝石、黄金の装身具。宝石で装飾された剣や鎧もあった。金貨や金の延べ棒が詰め込まれた箱が積み上げられている。
「これで、全部か?」
「金製の食器と銀製の食器は、厨房近くの保管庫に置いてあります。あとは……私の部屋にも宝石がいくつか。父と兄の部屋にもあるでしょう。それと、王妃の部屋にもあるかも……ただ、王妃が使っていた品が残っているかどうか。愛人に与えているという話も聞いたので」
「そういえば、マクシムの愛妾とやらをとらえたらしいな。その女達の部屋も探せ。ノエル、そちらは任せたぞ」
はい、と一礼したノエルが首をかしげた。
「女達の処遇はどうする?」
「処罰するほどのものでもないだろう。シュールリトン王族の処刑が終わった後は、好きにさせればいい。もし、こちらの兵で結婚したいという者がいれば嫁がせてもかまわないぞ」
「それはどうだろうな。マクシムと渡り合うくらいだから、俺達で太刀打ちできるかどうか」
苦笑まじりに言ったノエルだったが、ルディガーは肩をすくめて手を振っただけだった。もう一度頭を下げ、ノエルは命令を果たすべく立ち去っていく。