不器用な殉愛
首を落としたら、亡骸はディアヌに引き渡すと言ってくれている。城の敷地の中でも一番端、人の目につかないところに埋めるつもりだった。
その穴を掘ってくれとは言えないから、自分で掘るつもりでいる。
「——失礼する。よろしいか」
扉の外から、ノエルの声がする。ルディガーがここにはいないとわかっているのだろう。ディアヌの合図を受けて、ジゼルはそちらの方へと歩み寄り、扉を開いた。
「何か、御用でしょうか?」
「——俺は、あなたとルディガーの婚姻には反対だ。ルディガーは、シュールリトン王家の血などなくともこの国を統一することができる」
「そうでしょうね。それを疑う人はいないと思います。私自身も、そう思いますもの」
ディアヌは、ぎゅっとこぶしを握り締めた。自分がルディガーと釣り合わないことくらいわかっている。彼女がルディガーに与えることができるのは王位だけ。そして、それも渡してしまった——あとは、ルディガーがこの国を平定すればいいのだ。
「言いたいことは、それだけですか?」
「——俺は。ルディガーは——史上最高の王になると信じている」
ノエルの言葉には、完全に同意だった。きっと、ルディガーはいい国王になるだろう。きっと、ディアヌが渡した絵図がなかったとしても、この城を落とすことだってできたはず。