不器用な殉愛
「——俺は、俺は……俺は、悪くない……悪いのは、父上と、兄上——そうだ、その二人だ!」
次に引き出されたヴァレリアンは、見ているこちらが気の毒になってしまいそうなくらいにおどおどとしていた。だが、彼は今まで自分の身に危険が迫っているなんて、一度も考えたことがなかった。
彼もまた、自分の行いに対する責任は取るべきだろう。
いやだいやだとわめく声が、あたりに響き渡る。
それを見ていた見物人の間から、ヴァレリアンに対して情け容赦ない声が浴びせかけられた。
「う、うちの旦那は! あんたに手を切り落とされた! あんたに差し出した肉がちょっとからかったからというだけでね!」
「うちの娘だってそうだ!」
「お願い、息子を返して——」
どうやら抑えがきかなくなったらしい。見物人達の間から、繰り返し大声が上がる。
やれ、とルディガーが命じる。再び斧が降り上げられ、振り下ろされる瞬間を、ディアヌは瞬きもせずに見つめていた。
——これは、私が背負うべき罪だから。
異母兄の首も、処刑台の上に転げ落ちる。力を失った胴体を、役人達が城内に運び込む間も、集まった観客達からの罵声の声は止まることを知らなかった。
「ここまで、運んでくださってありがとう。その——たいしたお礼もできなくて、ごめんなさい。ジゼル、あれを渡してあげて」
「——本当に、何も持っていないのか」
二人の遺体を運んできてくれた役人達は、どうひいき目に見ても下っ端だった。ろくな教育も受けていないのだろう。