不器用な殉愛

 ルディガーがそれを理解したのは、ラマティーヌ修道院が、襲撃された後のことだった。

 ジゼルと一緒にディアヌの守りを任され、納屋に身をひそめるようにと言われた。納屋に入ってきた男達の撃破には成功したが——六歳の少女にも武器をふるわせてしまった。

 どうにかして、彼女の心の傷を癒してやらなければと思っていた。自分が外の世界に戻るのが多少遅くなったとしても。

 だが、クラーラ院長はそれを許さなかった。この修道院が襲撃された以上、父の仇であるマクシムが、ここに調査のための兵をよこすだろうと言って。

「ルディガー・ベタンクール。あなたは父親にそっくりだ——あなたがいなくなれば、セヴラン王家の血はとだえる。そうだろう?」

 だが、ルディガーを驚かせたのは、院長のその言葉だった。最初から、ルディガーの身元を知り、何気なくセヴラン軍の情報を流しながら、ここに匿ってくれていたらしい。

「ルディガー、行っちゃうの?」

 大きな目を丸くして、ディアヌが問いかけてくる。妹みたいに大事だった。守り切れなかったという後悔もある。

 でも——今は、行くしかなかった。

「ここにいたら、殺されてしまうかもしれないからさ。俺はもう行くよ」

 以前から、こうなることをどこかで予想していたのかもしれない。院長はルディガーに、当面の費用や地図や、その他度に必要なものを次から次へと渡してくれる。
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