恋雨
それなのに私の言いたいことを察して話を進めてくれる小澤くんは本当にスゴイ!

「もしかして佐々木さん、ずっと気にしてた?」

「え?」

「何だか余裕のない顔してたから……」

小澤くんの言葉に顔が熱くなった。

私の考えていた事を見透かされたという事が恥ずかしくて仕方がないのだ。

「佐々木さんって真面目なんだね」

何を言っているんだか。

真面目なのは小澤くん自身の方だ。

そんな小澤くんに『真面目』だなんて言われて居心地が悪い思いがした。

「私なんて全然まじめじゃないよ! 課題なんてしょっちゅう忘れて学校で友達に見せてもらっているし、通知表だって2が二つもあるんだよ」

沈黙。

混乱するあまりすごい事を口走ってしまった気がする。

現に目の前にいる小澤くんは驚いたように目を見開いて私を見つめている。

ヤバイ。変な女だって思われた。

私と小澤くんは見つめあった。まるで目をそらした方が負けとでも言うように互いがお互いから目をそらす事が出来なかったのだ。

先に目をそらしたのは小澤くんだった。

きっちり五秒の沈黙の後、小澤くんは耐えられないとばかりにお腹を抱えて笑いだしたのだ。
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