うちの奥さん 【短編】
すると奥さんは目をキョロキョロしながら少し考えて、


「あなたに先立たれたら、家の登記の事とかわからないから困るわ!」


と焦りだした。

そっちかい!と心の中で突っ込む。



奥さんはまたしばらく考えて、少し潤んだ目をして言った。



「あなたがいなくなったら、毎日あなたの車の助手席に座って、話しに行く。」



俺の愛車は、奥さんと付き合い始めた頃から乗っている、家族と同じくらい大切な存在だ。


まだ付き合い始めの頃、デートの時彼女がドアを駐車場の柱にぶつけて、彼女自身も頭をぶつけた時、


あろう事が彼女の心配より車の傷ばかり心配して、かなり不機嫌にさせた事がある。


自分で整備も車検も通す、大事な車だというのは奥さんもよくわかっていて、同じように大切にしてくれてるのが嬉しかった。
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