【短】カンタレラに侵されて。
カンタレラに侵されて
茹だるように蒸し暑い夏の日のこと。
せっかくの高校生活初の夏休みだと言うのに、夏期補習なんてものに出席しなくちゃいけなくなったあたしは、ぶつくさと文句をつけながら、一人、机に座っていた。
我が高校が鉄筋コンクリート製なことも余計に暑さを感じる原因か。
冷房がついていれば……と思うものの、そんなものがあるわけがない。
せめてもの情けからか、教室内にポツンと置かれた一台の扇風機は焼け石に水だ。
意味がない。
扇風機を延長コードが届くギリギリの範囲まであたしの席に近付けたけれど、全く涼しくない。
最前列だというのに何たるこの仕打ち。
それもこれも全部、期末テストで悲惨な点数を取ったのがいけないんだ! と、二週間前のあたしに何度目かの文句を叫ぶ。
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