【短】カンタレラに侵されて。
が、ヒョイッと手が伸びてきて奪われた。
「なっんで可愛い生徒から奪うんですか! 意地悪ですねー!」
「俺も暑いっつうの。誰かさんが扇風機を占領しているせいでなー」
「ゔっ……」
何も言い返せない。
だってそれは事実だったから。
あたしは扇風機の首を自分に向けて固定し、先生の方には向けていない。
だけど悔しいことに先生は汗をかいていなかった。
だから別に暑いわけじゃないと思って……ってのは単なる言い訳だ。
しぶしぶと、だけど申し訳なく思いながらも、扇風機の首を振らせた。