【短】カンタレラに侵されて。


が、ヒョイッと手が伸びてきて奪われた。


「なっんで可愛い生徒から奪うんですか! 意地悪ですねー!」

「俺も暑いっつうの。誰かさんが扇風機を占領しているせいでなー」

「ゔっ……」


何も言い返せない。

だってそれは事実だったから。


あたしは扇風機の首を自分に向けて固定し、先生の方には向けていない。

だけど悔しいことに先生は汗をかいていなかった。

だから別に暑いわけじゃないと思って……ってのは単なる言い訳だ。

しぶしぶと、だけど申し訳なく思いながらも、扇風機の首を振らせた。

< 12 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop