【短】カンタレラに侵されて。



いつの間にか日が傾いていた。

教室が赤く染まる。


問題集から顔を上げると、先生はまだ小説を読んでいた。

ジッと見ていたら、先生も小説から顔を上げて目があった。

途端に先生の目尻は柔らかくなって、あたしの好きな顔だなぁと思った。


「おまえよく頑張ったなー! そろそろ帰るか」

「はい、そうですね」


先生の大きな手が、あたしの頭を撫でる。
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