【短】カンタレラに侵されて。

ぼんやりとカバンに教科書を詰めていたら、車で家まで送ってくれると言われたので先生の言葉に甘える。


まるで夢みたいで、途中で先生がコンビニに寄ったことに気が付かなかった。

ピトッと冷たいナニかが頬に当たって驚くと、先生はクスクスと笑った。


「おまえ驚きすぎだろー」

「……って、なんですか? これ」

「アーイース、奢るって言っただろ? 今日頑張ったおまえへのご褒美」

「……あたしの見間違えじゃなかったら、これアイスじゃなくて氷菓というか──」

「文句あんならあげねーよ?」

「わーいせんせいありがとうだいすき」


先生への感謝の中にほんの少しだけ想いを込めた。

冗談じゃないと、気持ちは伝えられない。


< 17 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop