【短】カンタレラに侵されて。
ぼんやりとカバンに教科書を詰めていたら、車で家まで送ってくれると言われたので先生の言葉に甘える。
まるで夢みたいで、途中で先生がコンビニに寄ったことに気が付かなかった。
ピトッと冷たいナニかが頬に当たって驚くと、先生はクスクスと笑った。
「おまえ驚きすぎだろー」
「……って、なんですか? これ」
「アーイース、奢るって言っただろ? 今日頑張ったおまえへのご褒美」
「……あたしの見間違えじゃなかったら、これアイスじゃなくて氷菓というか──」
「文句あんならあげねーよ?」
「わーいせんせいありがとうだいすき」
先生への感謝の中にほんの少しだけ想いを込めた。
冗談じゃないと、気持ちは伝えられない。