【短】カンタレラに侵されて。
先生とほんの少しだけ話すと、あたしの家はすぐだった。
車から降りると、あたしは笑って頭を下げた。
「先生、今日はありがとうございました」
「おう、また明日な」
「って、明日もするんですか!?」
思わず顔を上げると、先生は口元に手を当てて小さく笑った。
「おまえなー、一日だけじゃ足りないだろ? 嫌なのか?」
「もちろん!」
胸を張って答えると、先生はこらっと怒って軽いげんこつが降ってきた。
ぎゃあぎゃあとあたしが文句を言うと、先生はフフッと笑う。
「とにかく、明日学校で待っているからなー」
「……気が向いたら、行きます」
プイッとそっぽを向いて答えたら、困ったヤツだと先生は苦笑して手を振った。
あたしも手を振り返すと、先生は去って行った。