不埒な先生のいびつな溺愛
今までどんなことがあっても、こんな雰囲気にはならなかったのに、どうして今はこんなことになっているのだろう。

すぐに女の人を連れ込んでも、先生は私には一度だって手を出さなかったのに。

「眠ったのは、すみませんでした、でも、なんで」

先生は相変わらず息が上がっている。待てをされた犬のように、私をギラギラとした瞳で視ていた。

先生が私を寝室に入れてくれない理由について、もしかして、と仮説が立った。
私が眠ってしまったら、先生は我慢できず手が出てしまう、ということ?

自覚をすると、私は一気に顔が熱くなった。

「お前はもう俺の担当じゃない方がいい。俺はずっと限界だった」

昇った体温が一気に冷たくなった気がした。
パーティーで言われた「担当をやめろ」という話は消えていない。

お父さんが亡くなった連絡が来て中断していた話なのに、先生はわざわざそれをぶり返した。

でも今までとは少し違う。

先生の私を見る目は、今までにないくらい熱っぽくて、まるで感情がむき出しになっているようだ。

「お前に先生って呼ばれる度に苦しくなる。……すぐ近くにいるのに、手が、届かない」

先生は私の前髪に手を触れようとして、言葉どおり、そこに触れることなく手を引っ込めた。
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