不埒な先生のいびつな溺愛
「……美和子。俺はお前が思ってるより、ずっと厄介だぞ。一回でもお前が俺の手に入ろうもんなら、多分もう戻れない。付き合うなら俺を捨てるのはナシだ」

「うん、捨てないよ」

「今は何とでも言えるだろうが。分かってんのか?一生、だ。俺と付き合うなら、一生捨てるな。約束しろ。約束できねえなら、俺はもう無理だ。……もう俺は、美和子がいなきゃ生きていけない」

大げさだと思ったけれど、久遠くんの表情は、たしかに私がいなくては生きていけない、そんな表情だった。

私は胸の奥がツンと痛むくらいにトキめいて、懇願する久遠くんの髪を撫でながらこちらへ引き寄せ、私から彼の唇にキスをした。

キスをした瞬間、久遠くんは体を震わせた。

「ふふ、久遠くん、可愛い……」

とても女性をとっかえひっかえしてきた不埒な彼とは思えないほどに、触れている唇は固くなっていた。

それを溶かすようにふにふにと軽く口をつけながら、何度も彼の髪を撫でた。

するとだんだんと久遠くんの唇は柔らかく反応するようになり、控えめに私の唇を絡めとってきた。

「美和子っ……」

ギュッと腕を回して、私にもたれかかってくる。その重みでついに私はもう一度畳に組み倒されてしまい、今度は降ってくるキスを受け止めるだけで精一杯となった。

「ん、待って、久遠く……」

「待てるかよ。もう何年待ったと思ってんだ」
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