不埒な先生のいびつな溺愛
「……美和子、泣くなよ」

もともとハスキーな先生の声が、さらに掠れた声へと変わった。

高校時代から、彼はそうだった。理不尽なことを言い切るくせに、こうして私が耐えきれずに爆発すると、困った顔で慰め始めた。

彼から謝ることは滅多にないが、私はこれを謝っていることと見なしている。

先生は不器用なのだ。

「すみません」

「謝れって言ってんじゃねえだろ。美和子が意味分かんねえことばっかり言うから、俺は……」

「……別に、そんな変なこと言ってないじゃないですか。先生って、私のこと一体どう思ってらっしゃるんですか?」

先生はまた固まった。

「先生?」

先生、動揺してる?どうして?

「……なっ、え、どうって、何がだよ」
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