不埒な先生のいびつな溺愛
Xデーまで一ヶ月
*******
それからの一ヶ月間で、私は伏見さんに三度お会いすることができた。
ディナー、映画、そして自宅マンション。順当に段階を踏んでいくタイプの、三種類のデート。
その間に、ネイルもピンクから、パールを乗せたヌーディベージュに変えた。
最初のデートは仕事終わりのディナーのみだった。
美味しいフレンチで、伏見さんも私も、どちらも行ったことのないお店を予約してくれた、とのこと。
寒くなりかけの秋の終わりで、こんな、都内のイルミネーションをくぐり抜けた先の駅前で待ち合わせだなんて。デートでなければ寂しいに違いなかった。
指定された改札を出て案内板の前に立っていると、写真で見た爽やかな男性が、キョロキョロしながらやってきた。
「……あ。秋原さん、ですか?」
私の前を通りかかるとき、伏見さんはすぐに気づいた。
「はい。良かった、会えましたね」
「お待たせしてすみません、伏見です。お仕事は大丈夫でしたか?」
「ええ。木島編集長にニヤニヤ送り出されてしまいまして。定時帰りで」
写真ではフレッシュな印象だったけれど、会って話してみると、落ち着いていて物腰も柔らかい人だった。
「すみません、僕たぶん、スゲー舞い上がってます」
伏見さんは、しばらく歩きながら、ふいにそう言った。
「伏見さん……」
体にピッタリと合ったスーツに、きちんとセットされた髪。
いつも目にしている久遠先生の、色気を駄々漏れにしたスタイルとはまた違う、清楚でキラキラした男性だ。
目の前の王子様のようなその人に、言われ慣れていない言葉を何度も貰えるたび、心臓が破裂してしまうんじゃないかと思った。
それからの一ヶ月間で、私は伏見さんに三度お会いすることができた。
ディナー、映画、そして自宅マンション。順当に段階を踏んでいくタイプの、三種類のデート。
その間に、ネイルもピンクから、パールを乗せたヌーディベージュに変えた。
最初のデートは仕事終わりのディナーのみだった。
美味しいフレンチで、伏見さんも私も、どちらも行ったことのないお店を予約してくれた、とのこと。
寒くなりかけの秋の終わりで、こんな、都内のイルミネーションをくぐり抜けた先の駅前で待ち合わせだなんて。デートでなければ寂しいに違いなかった。
指定された改札を出て案内板の前に立っていると、写真で見た爽やかな男性が、キョロキョロしながらやってきた。
「……あ。秋原さん、ですか?」
私の前を通りかかるとき、伏見さんはすぐに気づいた。
「はい。良かった、会えましたね」
「お待たせしてすみません、伏見です。お仕事は大丈夫でしたか?」
「ええ。木島編集長にニヤニヤ送り出されてしまいまして。定時帰りで」
写真ではフレッシュな印象だったけれど、会って話してみると、落ち着いていて物腰も柔らかい人だった。
「すみません、僕たぶん、スゲー舞い上がってます」
伏見さんは、しばらく歩きながら、ふいにそう言った。
「伏見さん……」
体にピッタリと合ったスーツに、きちんとセットされた髪。
いつも目にしている久遠先生の、色気を駄々漏れにしたスタイルとはまた違う、清楚でキラキラした男性だ。
目の前の王子様のようなその人に、言われ慣れていない言葉を何度も貰えるたび、心臓が破裂してしまうんじゃないかと思った。