不埒な先生のいびつな溺愛
Xデーの出来事
*******
新人賞受賞パーティー当日。
先生の家に行く前に、自分の支度はすべて済ませた。
スーツで行く予定だったが、木島編集長が、女性社員はドレスがいいなぁ、とボヤいていたため、私は一応その意見を取り入れ、控えめなシャンパンゴールドのワンピースドレスに、ジャケットを羽織ることにした。
ルージュは濃いめに、ピアスは揺れないものをつけた。
結局、爪は、ネイルサロンでアンティークホワイトに塗り直してもらってある。
「先生、起きてますか?」
エントランスを開けてくれたのだから起きていることは分かっていたが、ドアの前でも、無意味にそう声をかけた。
しかしドアはすぐに開いた。
「わあ、先生……!やっぱり似合いますね、スーツ」
すでに、真っ黒なスーツをピッシリと着こなした先生は、私を待ちくたびれたようにイライラした様子で立っていた。
ワインレッドのネクタイは手に持ったままで、まだ首にすら回していない。髪の毛までしっかりワックスがついているのに、ネクタイだけが抜け落ちて未完成だった。
もしかして、私が「締めてあげますから」と言ったのを覚えていて、わざと締めずに待っていたのだろうか。……まさかね。
「支度できてたんですね。えらいです先生。もうあとはネクタイを結べばオッケーですね。じゃあ、先生、貸してください」
「……ん」
先生は素直に、ネクタイを渡してくれた。
新人賞受賞パーティー当日。
先生の家に行く前に、自分の支度はすべて済ませた。
スーツで行く予定だったが、木島編集長が、女性社員はドレスがいいなぁ、とボヤいていたため、私は一応その意見を取り入れ、控えめなシャンパンゴールドのワンピースドレスに、ジャケットを羽織ることにした。
ルージュは濃いめに、ピアスは揺れないものをつけた。
結局、爪は、ネイルサロンでアンティークホワイトに塗り直してもらってある。
「先生、起きてますか?」
エントランスを開けてくれたのだから起きていることは分かっていたが、ドアの前でも、無意味にそう声をかけた。
しかしドアはすぐに開いた。
「わあ、先生……!やっぱり似合いますね、スーツ」
すでに、真っ黒なスーツをピッシリと着こなした先生は、私を待ちくたびれたようにイライラした様子で立っていた。
ワインレッドのネクタイは手に持ったままで、まだ首にすら回していない。髪の毛までしっかりワックスがついているのに、ネクタイだけが抜け落ちて未完成だった。
もしかして、私が「締めてあげますから」と言ったのを覚えていて、わざと締めずに待っていたのだろうか。……まさかね。
「支度できてたんですね。えらいです先生。もうあとはネクタイを結べばオッケーですね。じゃあ、先生、貸してください」
「……ん」
先生は素直に、ネクタイを渡してくれた。