不埒な先生のいびつな溺愛
私はトイレの扉に体がピッタリとつくほど近づいて、中にいる先生に話しかけた。

「先生、どうしたんですか。具合が悪いわけではないんですよね。何かありましたか?私には話せないことでしょうか」

木村くんは気を遣ってくれて、トイレの入り口の外まで戻っていき、中に入ろうとしている人に、別のフロアのトイレへ行くよう案内してくれた。

私は先生の個室の前から動かずにいたが、先生は何も言ってはくれない。

「・・・美和子」

「何ですか、先生」

「もう、俺の担当を辞めてくれ」

──え……?
< 70 / 139 >

この作品をシェア

pagetop