不埒な先生のいびつな溺愛
何も言ってもらえず、私もこれ以上何も言うことはできなかった。

先生が苦しんでいる理由も分からず、自分が悔しくて仕方がない。先生はとても孤独な人だけど、私だけは先生を孤独にさせまいと思っていた。

それは同情ではなくて、私の願望だった。

先生は孤独を嘆いてはいない。でも私は先生を理解できる。そばにいたいとも思ってる。だから、私がそばにいる限り、先生は孤独などではない。そう思っていた。
でも違ったのだ。

「そっか、先生は、私のこと、必要じゃなかったんですね……」

自分の中で出た結論は、自然と口から漏れだした。それが悲しくて悲しくて、私は泣いていた。

もう慰めてくれる言葉を、先生は返してはくれない。

───ピリリリ ピリリリ
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