不埒な先生のいびつな溺愛
彼と彼女の一年間
*******
────高校三年、春のこと。
私、秋原美和子は文系の特進クラスにかろうじて入ることができた。
この学校は抜きん出た進学校というわけではないけれど、有名大学を狙える範囲内の学生たちのみ、特進クラスへと集められる。
私は本が好きで、将来も本に関わる仕事に就きたいと思っていた。志望の学部も自然と文学部に決まっていて、大学も文学部が有名な大学ばかりが目に留まった。
「秋原、今のままでは、難しいよ」
進路指導の先生に言われたことが、この数日ずっと引っ掛かっていた。
「文学部にこだわらなければ、秋原ならもっと上の大学も目指せるんだけど」
「いえ、私は文学部がいいです」
先生はつまらなそうに口をつぐんで、「そう、じゃあ頑張ってね」と話を切り上げた。
特進クラスは息苦しかった。
細切れに行われる進路指導は、いつも自分の望む言葉をもらえない。クラスメイトはめきめきと実力を伸ばしているのに、自分だけが足踏みをしているようだった。
大好きな本を読む時間がなくなったのも、このストレスの原因だった。
私にとって、本を読むことは、漫画を読むことと同じだ。本を読むことを「偉い」なんて言う人もいるけれど、私にとっては完全な娯楽なのだ。
受験生になってからは、本を読んでしまうと、罪悪感に苛まれるようになった。
────高校三年、春のこと。
私、秋原美和子は文系の特進クラスにかろうじて入ることができた。
この学校は抜きん出た進学校というわけではないけれど、有名大学を狙える範囲内の学生たちのみ、特進クラスへと集められる。
私は本が好きで、将来も本に関わる仕事に就きたいと思っていた。志望の学部も自然と文学部に決まっていて、大学も文学部が有名な大学ばかりが目に留まった。
「秋原、今のままでは、難しいよ」
進路指導の先生に言われたことが、この数日ずっと引っ掛かっていた。
「文学部にこだわらなければ、秋原ならもっと上の大学も目指せるんだけど」
「いえ、私は文学部がいいです」
先生はつまらなそうに口をつぐんで、「そう、じゃあ頑張ってね」と話を切り上げた。
特進クラスは息苦しかった。
細切れに行われる進路指導は、いつも自分の望む言葉をもらえない。クラスメイトはめきめきと実力を伸ばしているのに、自分だけが足踏みをしているようだった。
大好きな本を読む時間がなくなったのも、このストレスの原因だった。
私にとって、本を読むことは、漫画を読むことと同じだ。本を読むことを「偉い」なんて言う人もいるけれど、私にとっては完全な娯楽なのだ。
受験生になってからは、本を読んでしまうと、罪悪感に苛まれるようになった。