彼のいちばん
そんな風に話していたら、ふたりは気づかぬうちに眠っていたのである。

(ん…あさ…?あのまま寝ちゃったのか…ってうわ!?竹下とまだ電話繋がってる…!?)

かのが起きた時、電話越しに裕太の寝息が
聞こえていた。

(このまま呼んで起きるかな?)

『竹下?』

『ん…』

『たけした〜〜おーーい、竹下くーん?』

かのは、もう起きている母に聞こえないよう、部屋の隅に隠れ、小さな声で裕太を呼んだ。

『竹下、起きて』

『ん……ん?え、うそだろ』

やっと起きたらしい裕太は、とても慌てた様子だった。

『ごめ、俺、いつ寝たんだろ…』

『あはは、わたしもわかんない、気づいたら寝ちゃってた。』

『そっか、ごめんな、ってか今日テストか…………ごめんな、夜更かしさせて』

『謝りすぎ。わたしがいいって言ったんだから。いいの。』

『そっか、ありがとな』


その後、ふたり7時間ものの長電話を終え、テストを受けにいくのだった。
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