きみが虹を描いてくれた青空の下で
「啓成……入院してるんですか?」


啓成、って聞いた途端。
八重ちゃんや小児病棟の重病っぽい子達が頭に浮かんで、パニックが引っ込んだ。


「そうなのよ~。入院っていうか、もう住んでるわね。暑くなってきたから毎日通うの大変。あ、バス来たみたい」
「え、あっ、ほんとだ。あ……」


振り向いたその人は、私の不安をよそに朗らかに笑った。
その表情で私も少し楽になれて、そこでその人のお腹が大きいことに気がついた。


「赤ちゃん、いるんですか?」

「うふふ、そうなの。まだちょっと早いんだけど、結構張るようになってきたからもうすぐかなって」

「お腹、重くないんですか?」


私は気の利いたことが何も言えなくて、おかしなことを訊いてしまった。


「重い重い、命だもん。なんてね」

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