弱虫リフレクション【短編】


「かな、じゃないわよ。私はそんなこと訊いてるんじゃないの。鬼塚くん、あなたは自分の言ってることがわかってるのって訊いてるの!」


激しく肩を揺さぶられる。

抵抗なんてしない。

と言うより、できない。

俺はただその場に突っ立って、俺へと向かう鋭い言の葉を全身で受け止める。


「南都ちゃん、絶対傷ついてるわよ?」


──ほんと、まさにその通りだ。


「馬鹿だろお前。何を思ったか知らんが、冗談でも言っていいことと悪いことがあるだろう」


──そう、俺は好きな奴を泣かせた最低最悪の大馬鹿野郎。


「早く追っかけて謝ってきなさい!」


──追っかけて……いいのか?


素直になるのが怖かった。

反応を見るのが怖かった。

何て臆病者。

そんな一言で済ませられたら、どれだけ幸せだろうか。

強がって、偽って、カッコつけて、……勝手に傷つけて。

ぐっと握った拳に、自らへの怒りが募る。


「……畜生っ」

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