弱虫リフレクション【短編】
「……さっきは、その、悪かった」
恐る恐る、だけど真っ直ぐに繰り出していく。
「俺さ、いつもお前に悪態ついてばっかだけど、別に嫌いとかそんなんじゃなくて……。寧ろ、その逆と言うかなんと言うか……」
好きだった。
堪らなく好きだった。
でも、それはただの一方的感情。
だからこそ隠した、偽った。
なんて情けない病だ。
まるで、初めからなかったかのように。
“違うんだ”って心に言い聞かせる。
弱い弱い、片想い恐怖症。
「……知ってるよ」
「へ?」
突然響いた優しい声に、俺は間抜けな声をあげた。
……知ってるって?
「鬼塚くんは不器用なだけ。本当はとっても優しい人だって、私は知ってる」