弱虫リフレクション【短編】
「遅くなって、ごめんなさい」
か細い声とともに、少し頬を染めた少女が現れた。
上品な赤い浴衣。
後ろで結わえられた艶やかな黒髪。
うっすら光るピンクの唇。
「っ!?」
不意に心臓はドクン、と跳ねて──。
いつしか、見とれていた。
「せっかくの夏祭りだからね。どう? 私のお下がりだけど中々似合ってるでしょ」
南都の肩に手を置いた栗原さんが、ニヤリと得意げに口角を上げる。
似合ってるも何も、可愛いすぎなんすけど……!
照れた笑顔は殺人級。
元々愛らしい彼女をさらに引き立たせているんだから、たまったもんじゃない。
「ああ、凄く似合っている」
「た、玉木くん……」
「幹也はどう思う?」
「へ!?」
いきなり振ってきた玉木に、俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。
ど、どう思うって……。