弱虫リフレクション【短編】
「へ?」
「成田(なりた)だよ、成田」
「なんで……」
「だってお前、成田に気があんだろ」
……う。
「ほら、お前いっつも地味な格好ばっかじゃねーか。こんな機会滅多にねぇぜ」
「……塚く」
違う。
「恥ずかしがんなって。なんなら、俺がついてってやろーか?」
違う、違う……!
「……っ」
息を呑んだその瞬間、目の前に広がっていたのは最悪の光景だった。
俺の大好きな瞳には、大粒の涙が溢れてて。
俺の大好きな白い肌は、悲しいまでに真っ赤に染まっていた。
「っ、みな……」
この場から飛び出した背中に、咄嗟に手が伸びる。
けれどそれは、すぐに内へ引っ込んだ。