弱虫リフレクション【短編】
『そうだ! アイツに見せたら良いんじゃねーか』
『だってお前、成田に気があんだろ』
こんなこと、本心なわけ全くないのに。
……何やってんだよ、クソッ。
止められなかった。
口が勝手に動いて、次から次へと溢れ出す言葉をもう、自分ではどうにも制御できなかった。
いつもそうだ。
自分の身を守るための盾は、いつの間にか鋭い矛となって周りの人間を無造作に突き刺す。
恐怖心。羞恥心。自尊心。虚栄心。劣等感。
全部身勝手だってわかってる。
でも。
臆病な俺の身勝手な感情は、大切で大切で仕方ない、どうしても壊したくないものの前であるほど、なぜだか歯止めが利かなくなってしまうんだ。