踏みだして、いつか【短編】
「西門と東門があるだろ。二手にわかれて配ろうと考えてる」
「二手って、誰と誰が組むんだ?」
岳は七瀬に視線を寄せ、手短に問う。
「あたしにも教えて」
岳と一緒になって言う彩芽に溜め息をついてから、七瀬は再び口を開いた。
「……彩芽。お前は伊月と東門だ。そして、岳は西門。俺と一緒に来てもらう」
「え、伊月と!?」
大きく声が室内に反響する。
それとほぼ同時。僕は静かにため息をついた。
やっぱり彩芽は僕とじゃなくて、七瀬とが良かったよな。
少し驚いたような表情が目の端に映って、なんだか恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。
だから。
「僕と一緒で悪かったね、彩芽」
なんとか平然を振る舞おうと、例の如く皮肉を吐いた。
……つもりだったのに。