踏みだして、いつか【短編】






「ごちそうさまでした!」


空っぽの器。

それぞれに食べ終わり、あいさつをする。


「ところで、七瀬。この前みんなで話してた件、どうなったの?」


一息ついたところで、ふと彩芽が切り出した。

彼女の言う“みんなで話してた件”とは、チラシ配りのことだ。

もうすぐ、高校で2回目の文化祭がやってくる。

ということで、その宣伝用のチラシを来週月曜からお昼休みと放課後に配ることが前から決まっていた。

当のチラシ作りの担当はと言うと、なんと僕。


一番美術の成績が良いからって、半強制的に押しつけられた役目だったけど。

二日前に完成したそれは、自分でも中々の出来だと思ってる。


「ああ、そのことか」


そう七瀬は一言だけ呟き腕組みをすると、すぐに淡々と言葉を並べ出した。

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