交際の条件
金曜日に飲み会は行われた。


当然、俺も参加するつもりだったが、仕事が入ってしまい参加できなかった。

サラリーマンの辛いところだ。



その夜、行きつけのバーで広瀬と落ち合った。



「飲み会の成果は?」


「残念でした・・・」

広瀬は思いのほか あっけらかんとしていた。



「ふむ。やっぱりダメかぁ」


「稲垣。ありゃ、相当な奥手だぞ」


「奥手?」


「人見知りが激しいのか、ただ単に恥ずかしがりやなのか分からねーけど、まともにこっちの顔を見ようとしない」


「顔を見ない?」


「ああ。こっちが いろいろ質問しても、目を合わせてくれないんだ」


「下心 丸出しだったんじゃないのか?」

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