交際の条件
第3章
ホテルの窓のガラス越しに眼下の街並みを眺めた。
高層階からの夜景は何度見ても綺麗だ。
色とりどりのネオンサインに飾られた街は 宝石を山積みにしたように光り輝き、空に浮かぶ雲さえも明るく照らしていた。
「タバコ吸ってもいい?」
バスローブを羽織って、綾が窓際まで来た。
「どーぞ」
俺がそう答えると、彼女はショルダーバッグからシガレットケースを取り出した。
望月 綾(モチヅキ アヤ)
経理部の女の子だ。
俺は机の上にあったガラスの灰皿を彼女に手渡した。