交際の条件
服装を整えてバーに戻ると、奈緒はソファの肘掛にもたれながら気持ち良さそうに眠っていた。


あちらこちら連れまわしてしまったから疲れたのだろう。


俺は彼女を起こさないよう隣に腰掛け、バーボンを飲みながら、しばらく寝顔を眺めた。


落ち着いた雰囲気の化粧をしていた。


子供っぽく見られるのが嫌なのだろう。


ブルーのアイラインが魅惑的に見えた。




バーの店内にはピアノの演奏が子守唄のように流れていた。

俺たちのほかに、客は7、8人いたが、みな静かに語り合っていて何ともいえない静けさが心地よかった。



腕時計に目をやる。


11時30分



もうこんな時間か



楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。



帰り支度をするため、奈緒を起こそうとしたその時だった。

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