交際の条件
第1章
ある日、いつものように出勤すると、同僚の広瀬章吾(ヒロセ ショウゴ)が嬉しそうな顔で話しかけてきた。


「おい稲垣。ついに見つけたぞ、運命の女!」


「今度は どこの子だ?」


俺は軽く受け流しながら、パソコンの電源を入れた。



広瀬の『運命の女』というセリフは、今に始まったことではないからだ。


出会った女に すぐひと目ぼれするのが奴のクセだ。



偶然 目が合っただけで、自分に好意をもってると思い込んでしまう。



燃え上がるのが早いが、冷めるのも早い。



忙しい男だ。

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