あなただけは、特別
――そして夜。
仕事を終え、会社から出たところで一台の見馴れた車が止まっている。
私の姿が見えたのだろう、助手席の窓が下りた。

「慎一郎さん!」
「お疲れ様、彩華。さあ乗って」

とある大企業の課長で、平日こんな早い時間に会えることはほとんどないのだが、今日はバレンタインだし、と時間を作ってくれた慎一郎さん。

忙しい中で、それでも私のために時間を作ってくれた事が嬉しかった。

助手席に乗ろうとしたとき、ふと後部座席に目が行く。
そこにはパンパンに膨れた袋が、いくつか無造作に置かれていた。
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