わたしのキャラメル王子様
駅を出て、手を繋いだまま静かな夜道を歩いた。



「ところで沙羅ママっていつ帰ってくんだっけ?」



「来週中には戻るって言ってたけど」



「来週中かぁ」



ふいに顔を上げたら、悠君は何か考え事をしてるふうに暗い空を見ていた。



ママが帰ってきてまずいことなんかないし、ママが帰ってこれなくなったとしても特に困ることはないはずだけど。



「悠君?」



「えーと、帰ってくる日がわかったら知らせてくれる?」



「うん、わかった」



いまいち腑に落ちない気持ちを抱えたまま、あっというまにうちに着いてしまった。



「じゃあ、戸締まりしっかりしてね」



「なんで?数時間後には学校だよ、悠君どこいくの?」



「俺いつもこの時間はまだ沙羅のうちにはいないよ」



「えーっ、そうなの?」



悠君は少し恥ずかしそうに後ろ髪を掻いた。
どうしてもこの時間帯にやらなくちゃいけないことがあって、バイト終わりでうちにまっすぐ来ることはないらしい。



< 100 / 156 >

この作品をシェア

pagetop