わたしのキャラメル王子様
いろんなことが次々に起こって、ひとつひとつを消化できそうになかった。



幸せすぎて頭がぼーっとしてる気がして、シャキッとしなくちゃと熱めのシャワーを浴びてベッドに入った。



でも、寝られるわけがない。むしろ今まで普通に寝られてた自分が信じられない。



ちょっと前までただの幼なじみだったけど、今はもう違うんだって、そう考えたらやっぱり一緒に寝るとかあり得ない気がしてきた。



なのに『早く帰ってきて』なんて言っちゃった。それってもしかしたら立派な煽り文句だったりして。



そう受け取られてたらどうしよう。襲われたりしたらどうしよう!



いやいや悠君に限ってそんなことするわけない。
クタクタで帰ってくるはずだし、まずこの薄っぺらい身体にそんな引力はないはず。



私にそんな魅力があればとっくに襲われてるはずだし。そうか、そうだよね、なるほどなるほど。
納得できるけど……そこそこ傷つくな。



ベッドのなかでそんなことを思い巡らしていたら私はあっさり眠ってしまったようで、どれくらい時間が経ったのか……背後にぴったりくっついている体温に気付いてぼんやり目を覚ました。



朝の光がカーテンの裾からちらちら揺れていて、暑くも寒くもなく、ずっとベッドのなかでまどろんでいたいような、夜更かしした日の朝特有の、心地よい倦怠感が残っていた。
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