わたしのキャラメル王子様
「私あの店のオーナーの娘なんです。フラワーアレンジを任されてるから、昼も夜も関係なくお店には前から頻繁に出入りしてて。
ピアニストは何人かいるけど、黒髪の人のことを素敵だなってずっと思ってました。そんなときにウィッグを外した姿をうっかり見ちゃって同じ高校の先輩だって気がついて。だから……手紙で脅しました」



「脅したの?あれ、ラブレターじゃなかったの?」



びっくりした。恋文じゃなくて脅迫状だった!



「いや。ラブレターですよ」



彼女はふわりと笑った。
なんて可憐なんだろう。悠君を脅すような子とは思えない。



「年齢を偽って大人を騙して働いてることをパパに言いつけられたくなかったら、彼氏になってって言ったんです。一週間でいいから、フリでもいいからって」



「すごい……大胆だね」



うっかり感心しちゃった。



「でも全然相手にされなくて……じゃあ、こっそりバイトしてることを沙羅先輩に言いつけますね、って言ったらすごくあわてちゃって」



どうしよう。ドキドキしてきた。
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