わたしのキャラメル王子様
「でも何したって気持ちは届かなくて、フラれた腹いせに、どうして嘘までついてバイトなんかしてるのか、理由を強引に聞き出したんです」



「ちょっと待って!バイトしてたのは、経済的に苦しかったからじゃないの?」



「何言ってるんですか?先輩バカなの?」



バカって言われた!



「ちがうの?悠君のパパの会社に危機が迫ってるとかじゃないの?」



「逆ですよ。佐野先輩はお父様の跡を継ぐためにあっちの大学に行く準備をしなきゃいけないんです。先輩ほんとに知らなかったんですか?」



「いや、あのっ、知ってる、聞いたことはあるよ。でもさ、それって」



前に向こうに帰ったのが中2くらいで、翌年には戻ってきてそのままこっちにいるから、今度あっちに行っちゃうのは早くても高校を卒業してからかなぁって、アバウトに想像してたんだけど。



「うちでバイトしたあと、そのままお店の控え室でパソコン開いてることも何回かあったし。レポートみたいなの書いて送ってましたよ、全文英語の」



「……それって」



昨日も私をうちまで送り届けて、やらなきゃいけないことがあるって言ってたのは。
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