わたしのキャラメル王子様
「正式にママの許可が下りたからって、私の部屋には上がり込まないでよね!」



だから先手を打つんだもんね。
悠君にはずっとソワソワさせられてる。
ちゃんと諸々説明して、納得させてほしい。
秘密主義の悠君のすべてを許せるほど、私の心は広くないんだもん。



「なんでそんなずっと機嫌悪いわけ?もうちょっと優しくてもよくない?退院したばっかなのに」



「自分の胸に手を当てて考えなさいよ!」



「んーと。片手で?」



「だからそういう問題じゃ……!」



「はいはい、喧嘩は帰ってからゆっくりしてね~」



ママの仲裁が入って、突っかかるのはやめたけど、私は悠君から顔をそむけて窓の外を見た。



うっすら窓に悠君が映ってる。
こっちを覗き込もうとしてるのもわかってる。



「なんか今日の沙羅可愛くない!」



悠君、そっぽを向いちゃった。



「可愛くなくていいもん!悠君のアホ!」



「沙羅の頑固者!」



ママは苦笑い。



でもね、口喧嘩してても
顔をそむけてても
車に乗り込んだときからつないでた手が離れる気配はぜんぜんない。



どっちからも離そうとはしないんだよね。
むしろぎゅっとされちゃって。
それにドキドキしたりして。
私達って、ほんとバカ。

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