わたしのキャラメル王子様







「ご飯出来たら呼ぶから宿題すませとくのよ~」



「はいはいわかってまーす」



自宅に着くと、結局は悠君の手首を引っ張って自分の部屋に上がる羽目になるんだ。



みんないやな感じ。
ママだってほんとうは知ってたくせに。
私だけがたぶんずっと仲間外れにされてた。それがなんか悔しい。



悠君を部屋に入れて、逃げ出さないように扉の前に立ちはだかった。



「悠君、私待ってるんだよ?いくらなんでも、もうこれ以上待てないよ」



「えっ!いいの?沙羅ママ下にいるのにそんな大胆な……」



「ちがーう!何妄想してんの、このおバカ!」



「だよね~」



怒られて観念したのか、荷物を足元に置くとごそごそやりだした。



「聞きたいのは御守り作ってる理由だよね……ちゃんと説明しなきゃって思ってたんだよ」



「うん、話して。もう秘密はなしだよ。それ、全員分編むつもりなの?」



悠君は、鞄のなかからその材料をごっそり取り出した。



「編みながらのほうがうまく話せるかも」



やっぱり時間はないんだ。
たった今だってふたりでいられる時間が刻一刻と減っていってる。不安に押し潰されそうになる。
悠君が行ってしまうことなんて、今まで何度もあった。
だけど、今回はちょっと何かが違うって、私は気づいてしまっていた。
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