わたしのキャラメル王子様
「会社の営利目的とか人脈構築のためには、そういうのもありなんだって。時代錯誤が過ぎるし、すげーやな感じじゃない?」



「確かにそうだけど……悠君とこいろいろあるんでしょ?」



「別になんもないよ。会社は傾いてるどころかぜんぜん潤ってんの。だけどそうなると別の欲がでるんだろうね。更なる発展を!みたいに幹部がそそのかすから、あっちにいる間に政略結婚の話まで出てきて、俺すげー焦ってさ」



当時を思い出してか悠君は大嫌いなトマトを頑張って食べてるときと同じ顔をした。



「高校からは自活するっていうのが第一条件でなんとかこっちに戻ってこれたけど、親の経済的援助が必要になった時点で強制帰宅させるって約束だったんだ。でも贅沢な生活を望んでるわけじゃないからなんの苦もなかったけど。ピアノの仕事の前にも一個バイトしてたしね」



「えっ、そうだったの?」



それこそ誰も知らないことなのかも。

< 124 / 156 >

この作品をシェア

pagetop