わたしのキャラメル王子様
「でもさ、同じように私だって悠君の力になりたいんだよ。少しは協力できることだって、あったかもしれないのに」




涙をこらえてそう言ったら、だんだん悲しくなってきた。
悠君のしんどいときに、私は何の役にも立ってなかったってことだから。



いつも守ってもらって、助けてもらって、悠君のためにしてあげられたことなんて、何一つ思い浮かべることができなかった。



「何言ってんの。沙羅からはいつもいっぱい力もらえてたもん。他に望むことなんかなんもないよ」




「なんでそんなこと普通に言えちゃうの?」




私は悠君に伝えたいことの半分も言葉にできていないのに。



「なんでって、それは全部ほんとのことだから。沙羅がいつも近くにいてくれたから、俺今まで頑張ってこれたんだよ。連絡取れなかったときは心配したけど、それで沙羅のことがどれくらい大事なのか今まで以上によくわかったし。
沙羅に叱られたから働くってことについて真面目に考えることもできたんだ。今だってこれ編むの手伝ってくれてるじゃん」



「そんなの……当たり前で普通のことでしかないよ」




そう答えたら、悠君はまっすぐな瞳で私を見た。



「当たり前じゃないよ。俺にとっては沙羅と過ごす普通の毎日が特別で宝物で、すべてなんだよ」



どうしよう、ダメだ。
涙がこぼれそう。

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