わたしのキャラメル王子様
「悠介読みまーす!えーとね『仲直りしたいときは、その人にあなたの雪見だいふくをひとつ分けてあげてね。美味しいねって一緒に笑い合えたらいつの間にか喧嘩は終わってるはずだよ。そのために雪見だいふくはふたつあるのかも?』だって。なにそれ。余計なお世話じゃね?俺ら喧嘩なんかしたことないもんねー?しょっちゅう口ゲンカするのは仲良しな証拠でじゃれあってるだけっていうか……えっ?あれっ、なに?なになになに!どーした沙羅!」



あきれてたはずが、私なんで泣いちゃってんだろ。決意が揺らぐの早すぎるよ。



「じゃがいもって目にしみるんだっけ?」



「……なわけないじゃん」



「アイスならちゃんと取っとくから、ね?」



「違うの。私悠君のことが好き。悠君のことが大好きで涙が出てくるの、意味わかんないの自分でも」



泣き顔を見られたくない。
泣いちゃいけないし見せちゃいけない。



なのにもう限界だった。悠君の胸のなかに飛び込んでしまいたい。でもできなくて、両手で顔をおおった。



「我慢しなくていいよ。ここでならいくらでも泣いていいから」



悠君はそっと私の肩を抱きよせて、切ないくらいに強く抱きしめてくれた。



「初めて俺のこと好きって言ったね」



「……言ってないもん」



「いーや。言った」



ダメだ。言い返せない。
悠君の胸のなかがあったかくて、泣けちゃって仕方ない。



「……すっげーうれしい」



そう言って悠君は、痛いくらい抱きしめてくれた。
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