わたしのキャラメル王子様
「体育祭楽しみだねって、話、したばっかじゃん」



「ごめん、なんとなく言いたくなっちゃってさ」



ぎゅっと抱きしめられてるのに、やっぱり可愛いことのひとつも言えない。



「借り物競争で『好きな人』ってカードひいちゃったら私どこにいったらいいの?」



悠君の胸をぽかぽか叩いた。
……悠君のバカ。大バカ。



「そのカードひいちゃったらニューヨークに飛ぶしかないでしょ」



「こんなときに冗談言わないでよ」



「あっそうだ、お守り沙羅のぶんもちゃんと用意してあるんだよ。それあげるから機嫌直して?」



「そんなのいらないもん。私何にもいらない」



このまま悠君のそばにいたい。
離れたくなんかない。それだけだよ。



「じゃあ俺にくれる?」



悠君はポケットの中のものを手に取って、私の左手薬指にするりと光るものをすべらせた。



「10年前のこと、覚えてる?結婚しよって約束したこと。あのときは子供だったから、もっかいちゃんと約束しなおそうよ」



びっくりして手元を見ると、それは光を集めてキラキラと輝いていた。



息が止まって、涙も止まった。
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