わたしのキャラメル王子様
「俺けっこううるさいけどいいの?」



「うん。もちろんいいよ」



こめかみの辺りに悠君のほっぺが当たって死にそうなくらいにドキドキした。



「この前みたいな丈の短いスカートはやめてね、胸元開いてるのもやだ。ふたりのときは全然ウェルカムだけど」



「ん、わかった」



プッと吹き出しそうになるのをこらえて、悠君の優しい声の続きを待った。



「他のやつに覗きこまれそうで心配なんだよね、あとグロスとかリップとか……せっかくオシャレしてくれたのにごめんねって先に謝っとく」



「なに?なんで?」



そう聞き返したら、悠君は私の耳に頬を寄せた。



「会えない日のぶんまでいっぱいキスしちゃうと思うんだよね、だからすぐ取れちゃうかなって」



後ろにぴったりくっついたまま、そんなことさらっと言わないでほしい。



全身が心臓になったみたい。
恥ずかしすぎて甘すぎて、鼻血吹いちゃいそうだよ。



しかもこれって、束縛とか独り占めってやつだったり、するのかな。



「……わ、わかりました」



「わかりやすいでしょ俺」



「そだね」



しあわせすぎて、もうなんの言葉も出てこない。



「普段の学校での沙羅も好きだけど、実は寝起きで髪ぼさぼさの沙羅もすきなんだ。でも俺のためにオシャレした沙羅も早く見たいな。明日が楽しみすぎる!」



「えっと、あの、うん私も」



こういうとき、なんて答えたら正解なのかわかんない。うん、てなんだ。
自分で言ってて意味わかんないや。



「そうやってすぐ照れるのも好きだよ」



くるりと、前を向かされて悠君と目があった。



「スッピンで部屋着の沙羅かわいいな」



すきすき攻撃がいつにも増してすごい。
両手でほっぺをむにっと挟まれた。



「どうしよ。大好きがとまんない」



いつにもまして悠君が甘い。
甘すぎて。
それだけで……終わるかな。



ドキドキ。
キレイな目にみつめられて、ドキドキ。



「……あれ?」



「あれ?って?」



「キス、しないんだ?」



いくら待ってもなんもないから、うっかり聞いちゃった!



「なに催促してんだよ、恥ずかしいじゃん!」



「なんでそこで悠君が照れるの?」



「だから、あんまドキドキさせんなって」



照れて笑う赤い顔。
その笑顔こそ反則でしょ。



明日のデートで何着たって
ずーっと指輪をはめとこう。



「悠君キスしよ?」



「しょーがないな。一回だよ?」



そう言いながら悠君は可愛いくて少しぎこちないキスをいっぱいしてくれた。
もう、体中から大好きだよって気持ちがあふれだしそう。




あんなこと言っちゃうなんて、自分でもビックリする。
ねぇ悠君。
私少しは素直になれてるかな?

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