わたしのキャラメル王子様








いつもと変わらない朝だけど、悠君がいないやけに静かなテーブルになかなか慣れることができないまま。



「ママ、パソコン買って?」



「はぁ?あんた悠君から何も学んでないのね」



ママが持ってきてくれたお味噌汁から湯気がほわほわ。
いい匂いがしてる。



「だってさ、顔見て会話とかできるし、何かと便利なんだよ」



「ダメに決まってんでしょ。働いて稼ぎなさい」



「だよねぇ」



「そんなんじゃ、じきにフラれるよ?」



お味噌汁でやけどした。



「なんでそんなこと言うのよ、ママの意地悪!」



ママはブラックコーヒーを飲みながら私をちらりと見た。



「もう10年くらい付き合ってんでしょ?よく飽きないわねぇほんと」



「10年って……!」



今度はお味噌汁を吹きそうになる。
ママにはそんなふうに見えてたの?



「はぁ。沙羅ロスの次は悠君ロスだわぁ。今度いつ帰ってくるんだっけ?前回より長そうじゃない?ママそれまで耐えられるかしら」



ママはエプロンの端で目頭を押さえた。

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