わたしのキャラメル王子様
「いや、もしもの話だから!俺もまだ死にたくないし」



「血がなくなったら悠君が干からびちゃう!」



「真に受けてんじゃん!大丈夫、俺ピチピチだからほら」



悠君は笑って私の手を取ると、それを自分のほっぺたにいざなった。



「ね?」



「う、うん」



「あったかーい、やわらかーい♪」



悠君はふざけて私の手にすりすりしてるけど、私は泣いちゃいそうだし目眩がしそうだし、頭のなかは軽くパニック。



「沙羅がべそかくと困るじゃん。ここに引っ越してきたくなる。おっ!第一弾焼けた」



何事もなかったように悠君はオーブンの中身を取り出して、たった今形成した生地と手際よく入れ換えた。



「これ焼けたら取り出してくれる?デコったら俺行くわ。やべ、時間ない」



「え、どこ行くの?」



……予定、あるんだ?
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