わたしのキャラメル王子様
「今日の部活楽しそうだったね、沙羅の笑い声がいっぱい聞こえてきたから俺すっげーやる気出た」



「そんなこと……言わないでよ」



何気ない笑顔や仕草にキュンとしない。優しい言葉に喜んだりしない。私は怒ってるの!



悠君は婚約者がいながら美少女をキープしてる最低なやつかもしれないんだ。



それなのにあんなキュートなクッキー焼いちゃってさ。気を持たせるようなことばっかりしてさ。
私がひとりでいた時間だって、あの子と一緒にいたかもしれないのに。



だけど、どうしても悠君がそんな男の子だとは思えなくて、胸が苦しくなる。疑ってる自分のことだって、嫌になってしまう。



「なんか作っとこうか?部活終わりはお風呂行きたいんじゃない?」



「なんかって……悠君料理できるんだ?」



意外!



「なんでも炒めればそれらしくなるんじゃないの?」



「なんでも……って。えーとやっぱ私やるね」



そうでした。彼は超感覚派でした!
あぶないあぶない。
冷蔵庫のなかをチェックして、何ができるか考えた。



「んーと。カレーでいい?」



「いいいい!」



「じゃ、作っとくから悠君はその、」



「シャワー行ってきます!急ぐし、お手伝いちゃんとするから!」



バタバタとお風呂に行っちゃった。悠君ほんとに泊まる気だ。てか、いつの間にか悠君のペースに飲み込まれちゃってた。
いつものことかぁ。あーあ。

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