わたしのキャラメル王子様
「クッキーどうだった?インスタ映え意識したのに上げてなかったじゃん」



隣に座ると悠君は不満そうに膝を抱えた。
まさかのインスタ映え狙ってたか。
だとしたら、だいぶ履き違えてるような気もするけど。



「インスタ映えどころか、インスタ越えしちゃってたよ?」



「……なんかそれ、バカにしてない?」



「してないしてない!」



「ほんとに?じゃ、また作ろ。今度は3Dな」



「それじゃ陶芸だよ」



悠君の小さなガッツポーズが可愛い。



「ほんとに美味しくてビックリしちゃった。あの作り方見てたしさ。しかもどこにも型抜き使ってないのがすごいよね。アルファベットも手びねりだもん。悠君センスあるよ」



「え~、なんか照れるじゃん」



「ありがと」



それは本音だった。
ほんとに大事なものは誰にも見せたくない。



自分の心のなかだけに大事にしまって、いつまでだって温めておきたいものなんだって、あの時初めて知った。



自分だけが投げる、世界でたったひとつの「いいね」が宝物。



「それにしてもさ、なんか嬉しいね」



「なにが?」



「だって俺達おんなじなんだもん。髪の匂い」



悠君ははしゃいで私の方にほっぺたを寄せてきた。ほんとに子供みたい。


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